
この記事をおすすめする人
・色彩検定3級を勉強中の人
・基礎を見直したい色彩検定2級・1級を勉強中の人
・照明によって色の見え方はどう変わる?について興味のある人
・混色について興味のある人
この記事では、『照明と色の見え方』と『混色』について解説します。
赤字部は重要なので、色彩検定を受ける時には覚えていきましょう!
色彩検定を受けなくても、知っているだけで日々の生活での色の見方が少し変わるかもしれませんよ。興味のある人は読んでみてください。
※この記事は2025年時点の色彩検定3級の出題範囲を参考にして作成しています。
- 色のはたらき
- 光と色
- 色はなぜ見えるのか?
- 眼のしくみ
- 照明と色の見え方←この記事の内容
- 混色←この記事の内容
- 色の表示(表色系)
- 色彩心理
- 色彩調和
- 配色イメージ
- ファッション
- インテリア
- 慣用色名
1.照明と色の見え方
照明とは、光を当ててモノや場所を明るくすることです。
光源は光を発するもので、光源からの光は照明光といいます。
照明光は自然光(太陽光)と人工光(白熱電球、蛍光ランプ、LEDなど)に分けられます。
照明光によって特徴や色の見え方が違います。
照明光の種類 | 特徴 | 色の見え方 | 分光分布 |
太陽光(昼光) | 短波長から長波長まで全波長がほぼ均等に含まれている | それぞれの色が自然に見える | ![]() 出典画像:ケイエルブイ株式会社 |
白熱電球 | 黄から赤の長波長が多い | 赤みかかって見える | ![]() 出典画像:パナソニック株式会社 |
蛍光灯 | 長波長が他の色より少ない | 少し青みかかって見える | ![]() 出典画像:ケイエルブイ株式会社 |
LED(白色) | ・青色と中から長波長が含まれている ・白熱電球や蛍光灯より少なりエネルギーで同じ明るさにできる | 白色の蛍光灯と同じか、それ以上に鮮やかに見える | ![]() 出典画像:パナソニック株式会社 |
2. 混色とは?
混色とは、2色以上の色を混ぜ合わせて別の色を作ることです。
例えば、赤色と青色の絵具を混ぜ合わせると紫色になりますよね。これが混色です。
混色の種類は大きく分けて加法混色と減法混色があります。
次から詳しく説明していきます。
3. 加法混色
加法混色には同時加法混色・併置加法混色・継時加法混色の3種類あります。
それぞれの混色について詳しく説明してきます。
3-1. 同時加法混色
2つ以上の色のライトを重ねると、重なった部分が明るくなります。
このように、色光を重ねることで起きる混色を同時加法混色といいます。
この混色のもとになる色はR(赤, Red), G(緑, Green), B(青, Blue)で、これを加法混色の三原色といいます。
- R:赤, Red, 長波長
- G:緑, Green, 中波長
- B:青, Blue, 短波長
この3色を混色することでさまざまな色を作り出すことができます。

- R + G → Y (黄色, Yellow)
- G + B → C (青緑, Cyan)
- B + R → M (赤紫, Magenta)
- R + G + B → W (白, White)
また、2色で混色すると白色にすることができますが、この2色のことを補色といいます。
- C + R = ( G + B ) + R → W
- M + G = ( R + B ) + G → W
- Y + B = ( R + G ) + B → W

補色同士を混色すると、R, G, B が重なっていることがわかりますね。
3-2. 併置加法混色
小さな色点を密集させて並べることで起きる混色を併置加法混色といいます。
例えば、下図の緑色は拡大してみると黄色と青色が並んでいることがわかります。

この併置加法混色がモザイク画や点描画などで活用されています。

ジョルジュ・スーラ作『グランド・ジャット島の日曜日の午後』
出典画像:Wikipedia
3-3. 継時加法混色
円板に複数の色で塗分けて回転することで色が混ざって見えます。これを回転混色といいます。

このように、眼で見分けられない速度で色が変化させることで起きる混色を継時加法混色といいます。

4. 減法混色
色が違うフィルターを2枚以上重ねると、重なった部分は元の色より暗い別の色になります。
この混色のことを減法混色といいます。
減法混色のもとになる色はC (青緑, Cyan), M (赤紫, Magenta), Y (黄色, Yellow)で、減法混色の三原色といいます。
- C:青緑, Cyan, 長波長の光(R)を吸収する
- M:赤紫, Magenta, 中波長の光(G)を吸収する
- Y:黄色, Yellow, 短波長の光(B)を吸収する
この3色を混色することでさまざまな色を作り出すことができます。

- C + M → B
- M + Y → R
- Y + C → G
- C + M + Y → Bk (黒, Black)

同時加法混色でも似たような式が出てきましたよね。
でも、加法混色も減法混色も丸暗記しなくて大丈夫です!
どちらも色の配置は同じなので、『どちらかの混色の色の配置』『三原色』『三原色を混色した後の色』を覚えておけば、OKです。
加法混色 | 減法混色 | |
配置 | ![]() | ![]() |
三原色 | R(赤), G(緑), B(青) | C(青緑), M(赤紫), Y(黄) |
三原色混色後の色 | W(白) | Bk(黒) |
また、2色で混色すると黒色にすることができますが、この2色のことを補色といいます。
- B + Y = ( C + M ) + Y → Bk
- G + M = ( Y + C ) + M → Bk
- R + C = ( M + Y ) + C → Bk

補色同士を混色すると、Y, M, C が重なっていることがわかりますね。
5. 混色を使った身近な例
ここまでの混色を使った具体例を紹介していきます。
5-1. カラーモニター(併置加法混色)
テレビやパソコンのモニターは目に見えないくらい加法混色の三原色(R, G, B)小さな点が並んでいます。
この点の一つ一つの明るさを調整することで併置加法混色となり、色を再現しています。

5-2. カラー印刷(減法混色, 併置加法混色)
カラー印刷も、カラーモニター同様に網点(ドット)と呼ばれる小さな点の大きさが並んでいます。
カラーモニターは加法混色の三原色(R, G, B)を使っているのに対し、カラー印刷は減法混色の三原色(C, M, Y)と黒(Bk)を使います。
ここで、「減法混色の三原色(C, M, Y)を全て足したら黒になるから、わざわざ黒を使う必要はないんじゃないの?」と不思議に思った人もいるのではないでしょうか?
減法混色の原理上は『C + M + Y →Bk』で正しいのですが、実際のカラー印刷では減法混色の三原色(C, M, Y)を全て足しても完全な黒色にならないので、黒色を使う必要があります。
減法混色の三原色(C, M, Y)と黒(Bk)に加えて、減法混色でできたR, G, Bとインクののっていない白い紙を合わせた8色が密にならんで併置加法混色が起こることでカラー印刷ができます。
余談ですが、通常のプリンターで色のついた紙に白色の印刷ができないのは、減法混色では白色が作り出すことができないからです。

5‐3. 織物(併置加法混色)
複数の色を織り込んでいる織物は併置加法混色となっています。
例えば、下画像のような織物は違う色の糸を組み合わせることで糸の色以上の色の数を表現することができています。

5-4. 染色(減法混色)
染色は生地に染料を使って別の色を再現します。
この時、生地の色と染料の色は減法混色となります。

出典画像:シンコー株式会社
5-5. 絵の具(減法混色, 併置加法混色)
絵具は色を混ぜていくと黒くなっていきます。これは減法混色によるものです。
ただ、絵具を塗った表面で絵具の顔料の粒が不規則に並んでいる部分は併置加法混色となります。
色が暗くなる減法混色と色が明るくなる加法混色が同時に起こることがあるので、混色による色再現は簡単ではありません。
下図は赤色と黄色の絵具を混ぜた画像です。
明確に「ここが減法混色、ここが併置加法混色」と分けられないので、「この図の示すところは間違っている」という人もいるかもしれないですが、あくまで混色の区別する時のイメージとして参考にしてください。

まとめ
『照明と色の見え方』と『混色』について説明していきました。
本文中の赤字部は全て重要なので覚えていきたいですが、「一度に全部は覚えられないよ」という人はまずは下のまとめから覚えていってください。
- 照明とは、光を当ててモノや場所を明るくすること
- 照明光は光源からの光で、自然光と人工光がある
- 混色とは、2色以上の色を混ぜ合わせて別の色を作ること
- 混色の種類は下図のように分かれている
