【色彩検定3級対策】第6回_色の心理効果について解説!

色彩検定3級

この記事をおすすめする人

・色彩検定3級を勉強中の人

・基礎を見直したい色彩検定2級・1級を勉強中の人

・色の心理的なはたらきについて興味のある人

この記事では、『色の心理効果』について解説します。

赤字部は重要なので、色彩検定を受ける時には覚えていきましょう!

色の心理的なはたらきについて説明しているので、色彩検定を受けない人も興味のある人は読んでみてください。

※この記事は2025年時点の色彩検定3級の出題範囲を参考にして作成しています。

色彩検定3級の出題範囲とこの記事の内容
  1. 色のはたらき
  2. 光と色
  3. 色の表示(表色系)
  4. 色彩心理
    • 色の心理効果←この記事の内容
    • 色の視覚効果
  5. 色彩調和
  6. 配色イメージ
  7. ファッション
  8. インテリア
  9. 慣用色名

1.色による心理的なはたらき

皆さんはビビッドな色の服を着ている人を見て「派手だな」と思ったり、黒色のカバンが重そうに感じたりしたことはないでしょうか?

色には心理的なはたらき(心理効果)があり、色の三属性(※)が深くかかわっています。

(※)色の三属性については過去にこちらで説明しています。

特に関わりの深い属性    代表的な色の心理効果
色相●寒暖感 ●進出・後退感
明度●膨張・収縮感 ●硬軟感 ●軽量感
彩度●興奮・沈静感 ●派手・地味感

また、色にはそれぞれの色の関連したものやイメージを思い浮かべることができます。

例えば、茶色という言葉を聞くと、木やチョコレートが連想できますよね。

このような心理的なはたらきを色の連想といいます。

次から『色の三属性(色相、明度、彩度)の色の心理効果』と『色の連想』について説明していきます。

2. 色相

色相の心理効果には『寒暖感』と『進出・後退感』があります。

色相の心理効果
  1. 寒暖感   :色を見たときに「暖かい」「冷たい」と、温度を感じること
  2. 進出・後退感:同じ距離にある色を見たとき、「近く」「遠く」と、距離を感じること

この他に『硬軟感』『興奮・沈静感』『派手・地味感』の心理効果もあります。

しかし、これらの心理効果は色相だけでなく明度や彩度も影響するので、ここでは色相だけ影響する心理効果のみ説明していきます。
⇒『硬軟感』についてはこちら
⇒『興奮・沈静感』についてはこちら

それぞれの心理効果についてみていきましょう。

2-1. 寒暖感

色を見たときに「暖かい」「冷たい」と、温度を感じることを寒暖感といいます。

寒暖感を表す表現として、暖色、寒色、中性色があります。

暖色暖かく感じる色赤、オレンジなど
寒色冷たく感じる色青、青緑など
中性色暖かくも冷たくも感じない色緑、紫など

また、無彩色(白、灰、黒)は有彩色に比べて冷たく感じる傾向があります。

そのため、暖色の色相でも低彩度になる(無彩色に近づく)と暖かさの印象が弱くなります。

2-2. 進出・後退感

同じ距離にある色を見たときに、「近く」「遠く」と、距離を感じることを進出・後退感といいます。

進出・後退感には進出色と後退色があります。

進出色近くにあるように感じる色赤など
後退色遠くにあるように感じる色青など

3. 明度

明度の心理効果には『膨張・収縮感』『硬軟感』『軽量感』があります。

明度の心理効果
  1. 膨張・収縮感:色を見たときに「大きい」「小さい」と、大きさを感じること
  2. 硬軟感   :色を見たときに「硬い」「軟らかい」と、硬さを感じること
  3. 軽量感   :色を見たときに「軽い」「重い」と、重さを感じること

この他に『派手・地味感』の心理効果もあります。

しかし、これらの心理効果は明度だけでなく彩度も影響するので、ここでは明度が強く影響する心理効果のみ説明していきます。
⇒『派手・地味感』についてはこちら

それぞれの心理効果についてみていきましょう。

3-1. 膨張・収縮感

色を見たときに「大きい」「小さい」と、大きさを感じることを膨張・収縮感といいます。

膨張・収縮感には膨張色と収縮色があります。

膨張色大きく感じる色白など明度が高い色
収縮色小さく感じる色黒など明度が低い色

大きさの見え方は色相の影響があまりありません。

例えば、補色の黄色と青紫でも、明度が同じであれば大きさは変わらないように見えます。

3-2. 硬軟感

色を見たときに「硬い」「軟らかい」と、硬さを感じること硬軟感といいます。

明度色相(※)代表トーン
硬い印象の色高い暖色系・ペールトーン(p)
・ライトトーン(lt)
・ソフトトーン(st)
軟らかい印象の色低い寒色系・ダークトーン(dk)
・ダークグレイッシュトーン(dkg)

(※)色相は明度より影響は小さいですが、寒色と暖色で硬軟感に差があります。

3-3. 軽量感

色を見たときに「軽い」「重い」と、重さを感じることを軽量感といいます。

軽量感は明度が高いと軽そうに見え、明度が低いと重そうに見えます。

例えば、ボールは黒色の方が白色より重そうに見えます。

同じ明度であれば、色相や彩度が変わっても軽量感はあまり変化しません。

また、明度の高い色を上に、明度の低い色を下に配置すると、安定して見えます。

色を反対にするとアンバランスに見えますが、動きを感じることができます。

例えば、下の図は左は明度の高い色が低い色に支えられて安定して見えますが、右はバランスが崩れそうな違和感があります。

4. 彩度

彩度の心理効果には『興奮・沈静感』『派手・地味感』があります。

彩度の心理効果
  1. 興奮・沈静感:色を見たときに興奮したり落ち着いたりすること
  2. 派手・地味感:色を見たときに「派手」「地味」と、派手さを感じること

それぞれの心理効果についてみていきましょう。

4-1. 興奮・沈静感

色を見たときに興奮したり落ち着いたりすることを興奮・沈静感といいます。

興奮・沈静感は彩度と色相が影響します。

彩度色相
興奮感を感じる色高い暖色系闘牛士の布
沈静感を感じる(落ち着く)色低い寒色系スーツ

4-2. 派手・地味感

色を見たときに「派手」「地味」と、派手さを感じることを派手・地味感といいます。

彩度や明度が高いほど派手な色に、低いほど地味な色になります。

彩度明度(※)代表トーン
派手な色高い高い・ブライトトーン(b)
・ビビッドトーン(v)
地味な色低い低い・ダークトーン(dk)
・ダークグレイッシュトーン(dkg)

(※)明度は彩度や色相より影響は小さいですが、明度により派手・地味感に差があります。

5. 色の連想

ある色からそれと関係したモノやイメージを思い浮かべることを色の連想といいます。

また、色の連想は時代や人種が変わっても同じイメージされるものがあります。

例えば、暗闇は世界共通で黒色のイメージを持たれます。

しかし、文化や社会や生活体験による違いによってイメージに個人差が出るものがあります。

例えば、下記は文化によって個人差が出やすいイメージです。

リンゴ太陽
日本で連想される色赤色 赤色
欧米で連想される色緑色 黄色

次に、これらの色の連想を利用した『色の象徴性』と『イメージカラー』について説明します。

5-1. 色の象徴性

色の連想が広く一般化したものを色の象徴性といいます。

色の象徴性にはトイレのマークや国旗があります。

【トイレのマーク】
(※)国によって色が変わることがあります。

色と意味
  • 青:男性
  • 赤:女性

【国旗】
(※)意味は諸説あります。

イタリア

色と意味
  • 緑:国土
  • 白:雪
  • 赤:情熱

インドネシア共和国

色と意味
  • 赤:自由と勇気
  • 白:正義と純白

5-2. イメージカラー

色の連想は企業のイメージカラー(コーポレートカラー)や商品パッケージなどのイメージとして使われています。

私たちが普段、当たり前に目にしているロゴや商品が企業活動や商品戦略のために色の連想が使われています。

5-2-1. コーポレートカラー

同じ企業名でも、コーポレートカラーによってイメージが変わります。

ただし、業界内で自社と他社とを差別化するために、あえて他社と区別できる色をコーポレートカラーとする場合もあるため、必ず色の連想のみで決まるわけではありません。

コーポレートカラーとイメージ
  • 赤:活動的
  • 緑:信頼性や誠実さ
  • 青:自然や優しさ

実際の企業ロゴを見てみると、確かに色と企業のイメージが合っていますね。

画像出典:Canva

5-2-2. 商品パッケージ

商品パッケージは使用目的や使用シーン、グレードなどがイメージカラーになることがあります。

イメージカラー色の連想
原料をイメージさせる目的・緑
・ピンク
・抹茶
・いちご
・抹茶味のお菓子
・いちご味のお菓子
高級なグレード黒色や金色高級クレジットカード

まとめ

『色の心理効果』について説明していきました。

本文中の赤字部は全て重要ですが、「一度に全部は覚えられないよ」という人はまずは下のまとめから覚えていってください。

まとめ

色相の心理効果

  • 寒暖感   :色を見たときに「暖かい」「冷たい」と、温度を感じること
  • 進出・後退感:同じ距離にある色を見たとき、「近く」「遠く」と、距離を感じること

■明度の心理効果

  • 膨張・収縮感:色を見たときに「大きい」「小さい」と、大きさを感じること
  • 硬軟感   :色を見たときに「硬い」「軟らかい」と、硬さを感じること
  • 軽量感   :色を見たときに「軽い」「重い」と、重さを感じること

■彩度の心理効果

  • 興奮・沈静感:色を見たときに興奮したり落ち着いたりすること
  • 派手・地味感:色を見たときに「派手」「地味」と、派手さを感じること

■色の連想

  • ある色からそれと関係したモノやイメージを思い浮かべること
  • 色の連想が広く一般化したものを色の連想という
  • 色の連想が広く一般化したものを色の象徴性という

以上、最後まで読んでいただきありがとうございました!

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